防災リュックだけで大丈夫?「水から出て待つ」という新しい水害対策

防災リュックは用意した。

水もある。
非常食もある。
モバイルバッテリーもある。

「これで、とりあえず防災対策はできたかな」

そう思っている方も多いのではないでしょうか。

でも、水害について考えていたとき、ひとつ気になったことがあります。

もし玄関の外がすでに水だったら、その防災リュックを背負って、どこへ逃げるのでしょうか。

車で逃げる?

徒歩で逃げる?

すでに道路が冠水していたら、どちらも危険になる可能性があります。

国土交通省も、河川が氾濫してからの避難は危険なため、早めに安全な場所へ避難することが最も重要だとしています。

では――。

もし避難が間に合わなかったら?

今回は、普段の防災とは少し違う、

「水から出て待つ」という備え

について考えてみます。

この記事で考えること

防災リュック
 ↓
どうやって避難する?
 ↓
避難できなかったら?
 ↓
水に浮く?
 ↓
水から出て待つ?
 ↓
救命いかだという選択肢


目次

防災グッズはある。でも「すぐ使える状態」ですか?【確かに】

突然ですが、今、自宅にある防災用品を思い浮かべてみてください。

非常食。

懐中電灯。

モバイルバッテリー。

救急用品。

防寒具。

ライフジャケットを用意している家庭もあるでしょう。

では、もうひとつ質問です。

「全部どこにある?」と聞かれて、すぐ答えられますか?

非常食はキッチン。

懐中電灯は玄関。

モバイルバッテリーは普段使い。

防寒具は押し入れ。

ライフジャケットは物置。

このように、防災用品は増やせば増やすほど、家の中に分散しがちです。

平常時なら問題ありません。

でも災害は、都合のいい時間に起きてくれるとは限りません。

夜中かもしれない。

停電しているかもしれない。

家族全員が慌てているかもしれない。

そんな状況で、

「ライトどこ?」

「ライフジャケットは?」

「防寒具はどこにしまった?」

と探し始めるのは避けたいところです。

防災グッズって、「持っている」だけでは足りないのか……。

防災用品は「持っていること」ではなく、「必要なときにすぐ使えること」まで含めて備えです。

水害では「何を持って逃げるか」だけでは足りない

防災リュックは基本的に、

「避難するときに持っていくもの」

です。

でも水害の場合、その前に大きな問題があります。

そもそも、どうやって避難するのか?

道路が冠水していれば車での移動が難しくなる場合があります。

水深が増えれば徒歩での移動も危険になります。

国土交通省の資料でも、浸水が始まってからの避難が危険な場合には、無理に屋外へ出ず、自宅の上階などへ退避する考え方が示されています。

だからこそ、

STEP
何を備えるか

STEP
どうやって避難するか

STEP
避難できなかったら、どうするか

ここまで考えて初めて、水害への備えになります。

「ライフジャケットがあればいい」ではダメなの?

ここで思いつくのがライフジャケットです。

もちろん、水難への備えとして非常に重要です。

ただ、ライフジャケットの役割は基本的に、

「人を浮かせること」

です。

そこで、もう一歩想像してみます。

寒い季節。

夜。

雨が降っている。

小さな子どもがいる。

高齢の家族がいる。

ペットもいる。

全員がそれぞれライフジャケットを着て、水の中で救助を待つ。

できれば避けたい状況です。

ここで発想を変えます。

人を浮かせるのではなく、
家族が乗る「場所」そのものを浮かせることはできないのか?

その答えのひとつが、

救命いかだです。


救命いかだは「大きな浮き輪」ではなかった【なるほど】

救命いかだという言葉を聞くと、

「船に積んであるオレンジ色のもの」

というイメージを持つ方が多いのではないでしょうか。

実際、現在の救命いかだは船舶の重要な救命設備のひとつです。

国際海事機関(IMO)のLSA Codeでは、救命いかだを含む救命設備について国際的な基準が定められています。

「空気で膨らませるだけ」で簡単に沈まないの?

ここが最も気になるところです。

「穴が開いたら終わりでは?」

と思いますよね。

しかし、一定の国際基準を満たす膨張式救命いかだは、単純な浮き輪とは構造が違います。

IMOのLSA Codeでは、主要な浮力部分を少なくとも2つの独立した区画に分け、一方が損傷したり膨張しなくなったりしても、残った区画で定員を支えられる構造が求められています。床についても防水性や寒さへの対策が規定されています。

────────────

水の上で「待つ場所」を作る

救命いかだの考え方は、

人を水の中で浮かせ続ける

ことではありません。

水面上に、人が乗って待機できる場所を作ることです。

製品によっては、

屋根。

断熱を考えた床。

転覆しにくくするための構造。

救助を知らせるための装備。

オール。

笛。

防水ライト。

修理キット。

などが備えられています。

つまり、

「ライフジャケットとの違い」

ライフジャケット
→ 人を浮かせる

救命いかだ
→ 人が水面上で待機する場所を作る

この違いです。

メリットとデメリットを比較

項目救命いかだ
水との距離水面から身体を出して待機できる
家族一か所にまとまりやすい
雨・風屋根付き製品なら軽減が期待できる
荷物防災用品を一緒に持ち込める
子ども・高齢者家族で見守りやすい
価格高額
保管スペースが必要
重量一人で簡単に運べない製品もある
メンテナンス点検や部品交換が必要な製品がある
洪水流木・瓦礫・強い流れなど別の危険がある

つまり、

「救命いかだがあれば絶対安全」ではありません。

特に重要なのは、

救命いかだを持っているからといって、洪水の中へ自分から出ていくものではありません。

河川氾濫後の避難は危険です。

まずは早めの避難。

逃げ遅れた場合には、安全な建物の上階への退避などを優先します。

救命いかだは、そのさらに先まで考えるための「追加の備え」です。


防災用品を置く場所そのものを「命を守る道具」にする【そういう手があったか】

ここまで調べていて、私は救命いかだには別の使い方もあると思いました。

それが、

救命いかだを家庭の「防災ステーション」の中心にする

という考え方です。

防災用品を全部「救命いかだのところ」に集める

救命いかだの周囲に、

・ライフジャケット
・防水ライト
・ホイッスル
・防寒具
・防水バッグ
・モバイルバッテリー
・非常食
・飲料水
・救急用品

などをまとめておきます。

家族には、

「災害用品は全部、救命いかだのところ」

と共有しておく。

これだけです。

これなら、

「あれ、どこにしまった?」

を減らせます。

普段は、

防災用品の保管場所。

そして万一の水害時には、

その中心に置いてあるもの自体が救命装備。

つまり、

防災用品を置く場所を作るのではなく、その中心そのものを「命を守る道具」にしてしまう。

この発想です。

実際に家庭向けに検討できる救命いかだもある

たとえばMETEXでは「EX.自動膨張救命いかだ」を防災用品として販売しています。

メーカーは、海難事故だけでなく、洪水・津波などの緊急時の安全確保を目的とした製品として案内しており、約2分で膨張して浮力と避難スペースを確保するとしています。

4人用から大人数用まで用意されており、2026年10月時点でメーカー公式オンラインショップの4人用は253,000円(税込)です。価格は変更される可能性があります。


EX.自動膨張救命いかだ

こんな家庭なら一度検討してみてもよいかもしれません。

・洪水浸水想定区域に住んでいる
・川や海の近くに住んでいる
・小さな子どもがいる
・高齢の家族がいる
・ペットがいる
・夜間の避難に不安がある
・防災用品を一か所にまとめたい
・「逃げ遅れた場合」まで備えておきたい

「そこまで必要?」と思うくらいでいい

25万円前後の防災用品です。

決して安くありません。

おそらく、

「そこまで必要?」

と思う方のほうが多いでしょう。

それでいいと思います。

すべての家庭に必要なものではありません。

まずは自宅のハザードマップを確認する。

避難場所を確認する。

家族で避難方法を決める。

防災リュックを用意する。

ライフジャケットを備える。

そこまでやったうえで、

「もし、それでも逃げられなかったら?」

まで考えたい家庭が検討するものです。

水を備える。

食料を備える。

電気を備える。

そして水害リスクがある家庭なら、

「水から出て待てる場所」まで備える。

そんな防災の考え方があってもいいのではないでしょうか。

最後に

防災リュックを背負って、

「どこへ逃げる?」

を考える。

さらに、

「逃げられなかったら?」

まで考える。

救命いかだは、早期避難の代わりではありません。

しかし、

避難できなかったときまで想定した「最後の備え」のひとつ

として知っておく価値はあります。

そして普段は、その救命いかだを中心に防災用品をまとめておく。

そうすれば、

「防災用品は全部ここ」

という、家族にも分かりやすい防災拠点を作ることができます。

「浮くための備え」から、

「水から出て、家族で待つための備え」へ。

水害への備えを見直すとき、一度検討してみてはいかがでしょうか。

※救命いかだの性能・用途・規格・使用方法は製品によって異なります。購入前にメーカーが想定する用途、安全規格、定員、重量、保管方法、点検方法を必ず確認してください。

※救命いかだは早期避難の代用品ではありません。河川氾濫などが予想される場合には、自治体等から発表される避難情報を確認し、危険になる前の避難を優先してください。

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この記事を書いた人

どうも運営者のTamaです。ご主人さんがネコの手も借りたい忙しさのため、急きょ運営する事になりました。こちらのブログは「次の災害時に助かる人を増やす」ことを目標に立ち上げました。日常生活の中でできる防災対策や、家族やペットと一緒に安全に過ごすための工夫を皆さんと共有しています。どうぞよろしくおねがいします!以上です。

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